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·静岡県焼津市·約9分

雁行するファサードが、駅前に賑わいを呼び戻す——ターントクルこども館「やいづ えほんと」

「たくさんくる」という焼津の方言から名付けられた、駅前商店街の突き当りに立つ子育て支援施設。1・2階の絵本図書館「やいづ えほんと」、3・4階の焼津おもちゃ美術館からなる。ジグザグに折れる「雁行ファサード」と半屋外空間が、街の人の流れを建物の中へ引き込む。このシリーズ・北から南への全30館、最後の1館。

ターントクルこども館の外観イメージ(AIによるイラスト)

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。

北の札幌から始まったこのシリーズの拡張ロードマップも、いよいよ最後の1館。静岡県焼津市、JR焼津駅から続く駅前商店街の突き当りに、令和3年(2021年)7月、一つの子育て支援施設が誕生した。「(来場者が)たくさんくる」を意味する焼津の方言から名付けられた「ターントクルこども館」。1階から中2階には絵本を中心としたこども図書館「やいづ えほんと」、2階から3階には「焼津おもちゃ美術館」が入る。

雁行するファサードが、街の人を引き込む

**このシリーズは「図書館(建物)を楽しむ」ことをテーマにしてきた。**その最後を飾るターントクルこども館が見せてくれるのは、地域の賑わいを取り戻すために練られた建築の仕掛けだ。設計を手がけたのは水野建築事務所の水野芳康。鉄筋コンクリート造4階建て、延床面積約2,755平方メートルのこの建物は、駅前商店街の並びという立地を最大限に活かすため、人の流れを受け入れる配置の芝生広場と、街との関係をつくる「雁行ファサード」——建物の壁面をジグザグに折れ曲がらせる意匠——を採用している。半屋外空間を各所に設けることで、内から外へ、活気が連鎖するように設計されている。

図書館「やいづ えほんと」の内装設計は、Hand & designが担当した。吹き抜けのある大きなワンルーム状の空間を壁で区切らず、家具や本棚の設えによって利用者の年齢層ごとにエリアを緩やかに分けているのが特徴だ。最初は大人に連れられて絵本を読んでいた子どもが、成長するにつれて友だちと、あるいは一人で自習しに来るようになる——家と学校以外の「第三の居場所」になることを願って設計されたという。

靴を脱いで入る、5つの展示室

館内には靴を脱いで入る展示室が5か所ある。広々とした畳敷きのエリア、ハンモックチェア、大きさや高さの異なる椅子やテーブルが並び、従来の図書館のイメージとはまったく違う空間が広がる。絵本を通して「出会い」「創造」「安心」という3つのテーマの可能性を広げることを目的とした「こども図書館」だ。

収納可能冊数は約50,000冊、現在の蔵書数は約6,000〜7,000冊。赤ちゃん向けの絵本から児童書、図鑑、中2階の隠れ家スペースには大人向けの文学作品や漫画も並ぶ。館内の本はすべてその場での閲覧専用で、貸し出しは行っていない(焼津市立図書館で借りた本をここで返却することは可能)。1階の「えほんとこども広場」は土足禁止で、床に寝転んだりハンモックに揺られたりしながら親子で読み聞かせができる。子どもの読み聞かせや、周囲の迷惑にならない程度の会話は公式に認められている空間だ。カフェ「hugcoffee」も併設され、子ども連れでなくても大人だけの利用が可能。館内の本を持ち込んで、ブックカフェのようにコーヒーや軽食を楽しむこともできる。2・3階の焼津おもちゃ美術館では、県産のヒノキを使った赤ちゃん専用の「木育ひろば」、8万個もの木の卵が敷き詰められた「木のたまごプール」、駿河湾の魚市場をイメージしたお寿司屋さんごっこなど、焼津らしさを随所に取り込んだ遊びが楽しめる(こちらは有料)。

館内では無料の公衆無線LANが使えるが、一般来館者が自由に使える充電・自習用の電源コンセントは設置されていない。持参した参考書や問題集を広げるような試験勉強・受験勉強目的の自習も一律禁止されている。静かに自習をしたい場合は、車で7〜8分ほどの焼津市立図書館(焼津文化会館併設)の方が向いている。駐車場は提携の「ターントクルこども館駐車場」があり、館内受付で駐車券を提示すれば2時間無料(以降は有料)になる。

やいづ えほんとへの入館は無料。開館時間は朝9時から夜7時までと長め。この施設は、ふるさと納税制度による全国からの寄附金を財源の一部として活用して整備された。

焼津神社とさかなセンター、港町の焼津を味わう

こども館から徒歩13分ほどのところに、409年創建と伝わる焼津神社がある。日本武尊を祀る古社で、現在の本殿は徳川家康が建てたと伝わる。毎年8月の例大祭「荒祭」は東海一の勇壮さで知られる。車で10分ほど足を延ばせば、新鮮な海の幸が並ぶ焼津さかなセンターもあり、マグロやカツオなど水揚げ量日本有数の港町らしい食を楽しめる。

アクセス

  • JR東海道本線 焼津駅南口より徒歩約8分

こんな人におすすめ

  • 建築好き — 雁行ファサードと半屋外空間、街に開かれた設計思想が見どころ
  • 子ども連れ — 靴を脱いでくつろげる展示室、ハンモックチェアなど、従来の図書館にない体験ができる
  • 港町グルメを楽しみたい人 — 焼津さかなセンターで新鮮な海の幸を味わえる
  • このシリーズを最初から読んでいる人 — 秋田から始まり、北海道を経て静岡へ。北から南への全30館、最後の1冊

周辺スポット

神社

焼津神社

409年創建と伝わる、日本武尊を祀る古社。現在の本殿は徳川家康が建てたとされる。毎年8月の例大祭「焼津神社大祭 荒祭」は東海一と称される勇壮さで知られる。

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徒歩約13分
市場

焼津さかなセンター

新鮮な海の幸が並ぶ、焼津を代表する観光市場。マグロやカツオなど水揚げ量日本有数の港町らしい品揃えで、その場で食べられる飲食店も充実。焼津観光の定番スポット。

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車で約10分

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ターントクルこども館はJR焼津駅南口から徒歩約8分。焼津神社やさかなセンターなど、港町らしい観光とあわせて楽しめるエリアです。

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