料理の本だけで、4万冊——食の文化ライブラリー
料理書、食材の専門書、酒、調味料、お菓子、食のエッセイにマンガまで。高輪の閑静な住宅地にある公益財団法人味の素食の文化センターの図書館は、「食べること」に関する本だけを約4万冊集めている。江戸時代の料理本や浮世絵もそろう、食の専門図書館。入館無料。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
Phase 5 #12は東京・高輪の食の文化ライブラリー。
前回の旅の図書館は、旅に関する本だけを集めた図書館だった。今回は、食べることに関する本だけを集めた図書館である。
創業者の邸宅跡にある図書館
食の文化ライブラリーは、品川駅の西側、高輪の静かな住宅地にある。
建物は味の素グループの高輪研修センター。もとは味の素の創業者の邸宅があった場所だ。その中に、公益財団法人味の素食の文化センターが運営する図書館と展示室が入っている。
味の素という会社は、1908年に池田菊苗博士が昆布だしから「うま味」の正体を発見したことから始まった。日本人が「おいしい」と感じるものの正体を、科学で突き止めたのだ。その会社がつくった財団が、食の文化を研究し、記録する場所として運営しているのがこの図書館である。
4万冊すべてが「食」の本
蔵書は約4万冊。そのすべてが、食にかかわる本だ。
- 料理書:家庭料理、日本料理、世界各国の料理
- 食材の専門書:魚、野菜、米、肉
- 酒、調味料、デザート
- 調理道具
- 食の歴史や民俗学の研究書
- 食にまつわる文学、エッセイ、マンガ
この幅の広さが面白い。料理のプロや研究者向けの専門書と並んで、食べ物が出てくる小説やエッセイ、グルメマンガまで置いてある。食の「文化」を集めるということは、人が食について書き、描いてきたものすべてを集めるということなのだ。
財団が発行している季刊の食文化誌『VESTA』も、ここでならバックナンバーごと読める。映像資料も200点以上あり、国内外の食文化を記録したビデオやDVDを専用ブースで視聴できる。
江戸の料理本と、錦絵
この図書館の宝が、約2,000点の貴重書だ。
江戸時代から昭和にかけての料理本、そして食文化を描いた木版の錦絵(浮世絵)がそろっている。江戸の人たちが何をどう料理し、どんなふうに屋台でそばや寿司を食べていたのか。料理本と錦絵を並べると、当時の食卓が立体的に見えてくる。
2017年には、所蔵する食の古典籍約300点をデジタル化し、国文学研究資料館の「新日本古典籍総合データベース」で公開した。画像はクリエイティブ・コモンズのライセンスで、誰でも利用できる形になっている。錦絵も、傷みやすい資料なのでオンラインで公開されている。
つまり、江戸の料理本は、高輪まで行かなくても家のパソコンで眺められる。それでもここを訪ねる価値があるのは、4万冊の「食の本」に囲まれる体験は、画面の中では味わえないからだ。
2階の展示室
建物の2階には食文化展示室があり、企画展と常設展が開かれている。
常設展の「食とくらしの小さな博物館」では、昔の家庭の食卓の風景が、当時の品々をそろえて再現されている。ちゃぶ台、台所道具、懐かしいパッケージの調味料。世代によって、それぞれ違う思い出がよみがえる展示だ。うま味についての解説もあり、親子で訪ねても話が広がる。
利用のしかた
- 入館・閲覧は無料。予約もいらず、誰でも利用できる
- 一般の人も本を借りられる。専門図書館では珍しい。住所と氏名がわかる身分証明書を見せ、カード代100円を払えば、その場で利用カードが作れる
- 貸出は1人5冊まで、3週間(延長はできない)。雑誌の最新号、映像資料、江戸の古典籍などの貴重書は館内閲覧のみ
- 返すときはカウンターのほか、宅急便や郵送でも返却できる(送料は自己負担)。遠方から来た人でも借りて帰れる
- 本に付箋(ポストイット)を貼るのは禁止。メモはノートと鉛筆で。館内は飲食禁止(ペットボトルも)
- 香川栄養学園や東京海洋大学の図書館の資料を取り寄せるサービスもある
- 江戸の古典籍や錦絵は、オンラインのデータベースでも閲覧できる
旅先で見つけた料理本を借りて帰り、家で作ってみて、郵送で返す。そんな使い方ができる専門図書館は、なかなかない。
設備とアクセス
都営浅草線の高輪台駅から徒歩約3分。JR品川駅の高輪口からは徒歩10〜15分ほどだ。
開館時間は10:00〜17:00。日曜日、祝日、年末年始、図書整理期間は休館。土曜日については、開館しているとする情報と休館とする情報があるので、公式サイトの開館カレンダーで確認してから行きたい。
駐車場はない。利用者向けのWi-Fiやコンセントもなく、持ち込みの参考書で勉強する自習の場でもない。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 東京都港区高輪3-13-65 味の素グループ高輪研修センター内 |
| アクセス | 都営浅草線「高輪台駅」徒歩約3分/JR「品川駅」高輪口から徒歩10〜15分 |
| 開館時間 | 10:00〜17:00 |
| 休館日 | 日曜日・祝日・年末年始・図書整理期間(土曜日は公式カレンダーで要確認) |
| 入館料 | 無料 |
| 蔵書 | 約4万冊・映像資料200点以上・貴重書約2,000点(江戸〜昭和の料理本、錦絵) |
| 貸出 | あり(カード代100円・身分証明書が必要。5冊・3週間、郵送返却可) |
| Wi-Fi・電源 | なし |
| 学習室 | なし |
| 併設 | 食文化展示室(2階) |
| 運営 | 公益財団法人味の素食の文化センター |
| 駐車場 | なし |
| 公式サイト | 味の素食の文化センター |
こんな人におすすめ
- 料理が好きで、レシピ本を何冊も並べて読み比べたい人
- 江戸の食文化や、昔の料理本・錦絵に興味がある人
- 食べ物が出てくる小説やマンガが好きな人
- 栄養学、調理、食品の仕事や研究をしている人
- 泉岳寺や白金台とあわせて、高輪の静かな街を歩きたい人
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泉岳寺
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Google Mapsで見る ›東京都庭園美術館
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