潟のほとりの「ぶっくスワン」——新潟県立図書館
1915年創立、100年を超える歴史を持つ新潟県立図書館。現在の館は鳥屋野潟公園の広い敷地に建つ3代目で、県立文書館・生涯学習推進センターと同じ建物に同居している。白鳥の飛来する潟にちなんだ愛称は「ぶっくスワン」。緑に囲まれた約250席、Wi-Fiと電源とカフェが揃い、1日こもれる県立図書館だ。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
Phase 4 #14は新潟県立図書館。埼玉の2館を終えて、ロードマップは北陸・信越へ入る。
場所は新潟市中央区女池南、鳥屋野潟の南側。新潟駅からバスで「野球場・科学館前」下車すぐという、市街地からは少し外れた公園エリアだ。愛称はぶっくスワン。冬に潟へ渡ってくる白鳥から来ている。
現地に立ってまず驚くのが、敷地の広さである。建物が敷地いっぱいに建つ都市部の県立図書館とは対照的に、ここは緑のなかに施設が点在している。図書館があって、科学館があって、野球場があって、その向こうに潟が広がる。「図書館の周り」という感覚がなく、公園のどこかに図書館がある、と言ったほうが近い。
100年を超える歴史と、3代目の館
新潟県立図書館の創立は1915年(大正4年)4月1日。「明治記念新潟県立図書館」という、いまとなっては時代を感じる名前だった。翌1916年12月、新潟市寄居町に館舎が竣工して開館する。現在の日本銀行新潟支店が建っている場所だ。
戦後の1953年、新潟市一番堀通町に2代目の館舎が落成。この建物は白山公園の再開発で解体され、いまはもうない。1992年(平成4年)に県立図書館へ改称し、同年8月7日、女池南の現在地に3代目となる新館が開館した。2015年には創立100周年を迎えている。
蔵書は932,287冊(2021年4月時点)。県立図書館としては標準的な規模だが、100年分の蓄積があるぶん、貴重書や古い郷土資料の層が厚い。
図書館と文書館が、同じ建物にある
この館でおもしろいのは、1992年の新館開館が単独ではなかったことだ。同じタイミングで、新潟県立文書館と新潟県立生涯学習推進センターが新設され、同じ建物に入っている。
図書館と文書館が同居している県は、実はそう多くない。図書館は刊行された本を集め、文書館は行政文書や古文書といった「一点もの」を保存する。似ているようで、資料の性格も扱い方もかなり違う。それが廊下続きにあるということは、たとえば近世の村の様子を調べたいとき、活字になった郡誌と、その元になった原文書を同じ日に見られるということでもある。
調べものを本気でやる人にとって、この配置はかなり強い。埼玉の熊谷図書館が「県内市町村の史誌を棚で見比べられる」館だったとすれば、新潟は「刊行物と原資料を行き来できる」館だ。
潟と、科学館と、カフェ
立地も特徴的だ。図書館は鳥屋野潟公園の一角にあり、目の前には新潟県立自然科学館が建つ。プラネタリウムと恐竜骨格のある、県内最大級の科学館である。近くにはHARD OFF ECOスタジアムやデンカビッグスワンスタジアムもあり、このあたり一帯が新潟の文化・スポーツゾーンになっている。
館内にはライブラリーカフェ「micicoco」が入っていて、軽食が取れる。飲食のルールははっきりしていて、持ち込みの飲食はエントランスホール、閲覧室内は原則禁止。ただし閲覧室入口手前の「くらしガーデン」コーナーだけは、フタ付きボトルの飲料が認められている。
閲覧席は約250席。参考書や問題集を持ち込んだ自習も公式に認められていて、独立した自習室こそないが、席のスペースにゆとりがあるぶん居心地がいい。窓の外に緑があるというだけで、長時間の作業はだいぶ楽になる。
Wi-Fiは無料の公衆無線LANが使える(閲覧室内の電波が届く範囲)。持ち込みパソコン用の席は個室型10席・開放型26席があり、電源も備え付け。ただしタイピング音への配慮から利用できる座席エリアが指定されている点と、スマートフォンやバッテリー単体の充電目的では使えない点は押さえておきたい。
駐車場は無料で約100台。加えて鳥屋野潟公園側の駐車場も使えるので、車で来る分にはまず困らない。ただし隣の自然科学館でイベントがある日や土日祝は満車になりやすいので、その日は早めに入るのが無難だ。
開館時間と休館日
開館時間は火曜〜金曜が9:30〜19:00、土日祝が9:30〜17:00。エントランスホールだけは休館日を除いて9:00から入れる。
休館日は毎週月曜日。ただし祝日・振替休日にあたる場合は開館し、その代わり翌平日が休館になる。ほかに蔵書点検期間と年末年始。埼玉の2館のような「毎月第4金曜」といった細かい休館日がないぶん、予定は立てやすい。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 新潟県新潟市中央区女池南3-1-2 |
| アクセス | 新潟駅からバス(西跨線橋・女池愛宕線)「野球場・科学館前」下車すぐ |
| 開館時間 | 火〜金 9:30〜19:00 / 土日祝 9:30〜17:00(エントランスホールは9:00〜) |
| 休館日 | 毎週月曜日(祝日・振替休日は開館し翌平日休館)・蔵書点検期間・年末年始 |
| 蔵書数 | 932,287冊(2021年4月時点) |
| 併設施設 | 新潟県立文書館・新潟県立生涯学習推進センター(同一建物)/新潟県立自然科学館(目の前) |
| 閲覧席 | 約250席(持ち込みPC席:個室型10席・開放型26席) |
| Wi-Fi | あり(無料の公衆無線LAN、閲覧室内の電波が届く範囲) |
| 電源 | あり(PC優先席など指定エリア。充電のみの利用は不可) |
| 学習室 | あり(独立した自習室はなし、閲覧席で自習可) |
| 駐車場 | あり(無料・約100台、公園駐車場も利用可/土日祝は混雑) |
| 飲食 | エントランスホールで持ち込み可/館内にライブラリーカフェ「micicoco」 |
| 公式サイト | 新潟県立図書館 |
こんな人におすすめ
- 刊行物と原文書を同じ日に行き来したい、腰を据えた調べものをする人
- 新潟の郷土資料や貴重書を、100年分の蓄積から探したい人
- 電源とカフェのある県立図書館で、1日こもって作業したい人
- 緑に囲まれた広い敷地で、窓の外に自然がある環境で読書や勉強をしたい人
- 子どもを県立自然科学館に連れて行くついでに、自分は図書館に寄りたい人
- 冬の鳥屋野潟に白鳥を見に行く日程に、図書館を組み込みたい人
周辺スポット
新潟県立自然科学館
図書館の目の前にある、県内最大級の科学館。恐竜の全身骨格や大型プラネタリウム、体験型の展示が揃い、雨の日でも半日は過ごせる。図書館で調べものをしてから科学館へ、あるいは子どもを科学館に連れて行くついでに図書館へ、という組み立てが成立する立地はなかなか貴重。
Google Mapsで見る ›鳥屋野潟公園
新潟市の中心部にありながら、冬には白鳥が飛来する周囲約10kmの潟。図書館の愛称「ぶっくスワン」もこの白鳥に由来する。潟をはさんだ対岸にはデンカビッグスワンスタジアムが建ち、公園として整備された園路は散歩に向く。読書の合間に外の空気を吸うにはちょうどいい距離感。
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