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·高知県高知市追手筋·約18分

県立と市立が、ひとつになった——オーテピア高知図書館

高知県立図書館と高知市民図書館が、2018年にひとつの図書館になった。都道府県立と市立の合築は日本初、そして世界初。正式名称は「高知県立図書館 高知市立市民図書館」という。収蔵能力205万冊、中四国最大級。この連載で追ってきた県立と市立の関係が、ここで最終形にたどり着く。

オーテピア高知図書館のイメージ

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。

Phase 4 #36は高知県立図書館。ただし、この館を訪ねるときに使う名前は違う。

オーテピア高知図書館。

正式名称は「高知県立図書館 高知市立市民図書館」という。二つの館名が、並んでひとつの図書館を指している。


日本初、そして世界初

2018年(平成30年)7月24日、高知市追手筋に複合施設オーテピアが開館した。

ここに入っているのは3つの施設だ。

  • オーテピア高知図書館(高知県立図書館と高知市民図書館本館の合築)
  • オーテピア高知声と点字の図書館
  • 高知みらい科学館

このうち図書館が、都道府県立図書館と市立図書館の合築として日本初——そして資料によれば世界初とされている。事業主体は高知県と高知市、管理運営は高知市。二つの自治体が、ひとつの図書館を共同で運営している。

規模も大きい。蔵書は約150万冊(開架約30万冊、閉架書庫約120万冊)で、収蔵能力は205万冊。中四国では最大級で、開館時には中四国で2番目、全国では11番目に大きい公立図書館とされた。県内外からの入館者は年間約100万人にのぼる。


連載で追ってきた関係の、最終形

この連載では、県立図書館と市町村立図書館の関係をずっと見てきた。県によって、これほど形が違うのかと何度も驚かされた。

県県立と市立の関係
三重1987年に津市図書館ができるまで、県立が市立の役割を代行
滋賀前川恒雄のもとで県立が市町村立を作らせた
富山1943年に県立が市立を併合し、1970年に市立が分離独立
兵庫神戸市立が大きく、県立は明石に置かれ当初は一般貸出もせず
広島1935年から市立の浅野図書館が県の中央図書館に指定
高知県立と市立が、ひとつの図書館になった

代行する。作らせる。併合する。棲み分ける。指定する。——そして、合わせる。

高知が選んだのは、どちらかがどちらかを担うのではなく、二つを一つにするという答えだった。県立の広域的な役割と、市民の日常的な利用を、同じ建物の同じ蔵書で引き受ける。

システムも統合された。開館に先立って2015年6月から情報システムを「暫定稼働」させ、県立と市民図書館がそれぞれ運用していたシステムを一本化してから、2018年の開館を迎えている。建物より先に、データを合わせたわけだ。


追手前小学校の跡地に、樹を建てる

建った場所は、旧・高知市立追手前小学校の跡地である。児童数の減少で近くの新堀小学校と統廃合され、長く空き地になっていた。

このシリーズでは、県立図書館が建った土地の来歴を追ってきた。岡山は中学校の跡地、島根は刑務所の跡地、香川は空港の跡地、長野と富山は師範学校の跡地。高知は小学校の跡地。学びの場が、別の形の学びの場になった。

設計は佐藤総合計画+ライト岡田設計。コンセプトは「高「知」の樹」。外観はGRCという素材で樹の質感を表現した「リーフルーバー」に覆われ、閲覧室は書庫2層分の吹き抜けになっている。構造は免震。2020年に第61回BCS賞、2018年に高知市都市美デザイン賞を受けた。

ちなみに佐藤総合計画は、#28で書いた鳥取県立図書館を設計した佐藤武夫設計事務所の後身にあたる事務所だ。1990年の鳥取と2018年の高知が、同じ系譜の設計でつながっている。

延床面積は建物全体で約22,766平方メートル、うち図書館部分が17,780平方メートル。図書館は2階から4階を占める。

  • 2階:一般開架、ティーンズコーナー、こどもコーナー
  • 3階:課題解決型フロア。ビジネス・科学・産業・農業の専門コーナー、高知資料、視聴覚資料

3階に農業のコーナーが立っているのが高知らしい。館の基本方針には「進化型図書館」と「課題解決」が掲げられている。基本理念は「これからの高知を生きる人たちに力と喜びをもたらす図書館」。


日本で最初に、本を車に積んだ

高知県立図書館そのものの歴史も書いておきたい。

1916年(大正5年)3月、旧土佐藩家老の五藤正形から蔵書数千冊の寄贈を受け、大正天皇即位の記念事業として高知市丸ノ内6番地に高知県立図書館が竣工した。初代館長は中城直正。翌1917年4月には巡回文庫を開設している。

1945年7月、戦災で館の建物と蔵書13万冊を焼失。 翌1946年、海南中学校(現在の高知小津高校)で業務を再開した。

そして1948年(昭和23年)7月、日本初の移動図書館「自動車文庫」の運行を始める。

焼け跡から再開した図書館が、日本で最初に本を車に積んで走り出した。このシリーズでは、山口が1904年に巡回書庫を、滋賀が「ほたるび号」「しらゆき号」を、富山や鳥取や和歌山も移動図書館を走らせてきたことを書いてきた。自動車文庫という形の始まりは、ここだった。

1973年に竣工した旧館は、RC造3階建て・延床3,896平方メートル、収蔵能力約30万冊、閲覧席263席。それが2018年、収蔵能力205万冊の現在の館になった。7倍近い。


階で、使い方が分かれている

この館はフロアごとに役割がはっきり分かれている。ここを知っているかどうかで、使い勝手がまったく変わる。

2階・3階は、調べものとPC作業のフロア。 一般閲覧席を中心に、各席に電源コンセントと読書灯が備わっていて、ノートパソコンを広げた作業が快適にできる。3階の課題解決型フロアで専門資料を引きながら書く、という使い方に向いている。ただしここで私物の教材「だけ」を広げる自習は想定されていない。

自習は4階の学習室へ。96席。 参考書や問題集だけを持ち込んだ受験勉強・試験勉強が、ここでは公式にできる。予約不要、空いていれば誰でも先着順。混雑時には、さらに上のM5階にある「学習・研究室」(60席)が臨時に開放されることもある。ただしM5階の席には電源がないので、そこは注意したい。

この連載では自習の扱いを館ごとに追ってきたが、高知は「自習お断り」ではなく、専用の階を用意するという答えを出している。しかも96席+臨時60席。愛媛の104席と並ぶ規模だ。

そしてグループ室、研究個室、データベース席は予約して使える。WEB予約と、館内の端末から取る「いますぐ予約」の2通り。研究個室が予約できる県立図書館は、この連載でも数えるほどしかない。

ひとつ独特なルールがある。2階・3階の図書エリア(ゲート内)にある本を、4階の学習室や2階の共同楽習スペース(ラーニングコモンズ)へ持ち出したい場合は、カウンターで貸出手続きを済ませる必要がある。館内の移動でも、ゲートを出るなら手続きが要る。知らないと戸惑うところだ。

もうひとつ感心したのが利用案内の多言語対応。日本語、English、繁体字、簡体字、한글、tiếng Việt。さらに「やさしい利用案内」もある。6言語プラス、やさしい日本語。声と点字の図書館が同じ建物に入っていることと、無関係ではないだろう。

Wi-Fiは館内全域で無料の無線LANが使える。複合施設全体で一体整備されたものだ。


設備とアクセス

開館時間が長い。 火曜から金曜は9:00〜20:00、土日祝は9:00〜18:00。しかも7月・8月の土曜日は20時まで延長される。平日夜8時まで開いている県立図書館は、この連載でも上位に入る。

休館日は毎週月曜(祝日の場合は開館)、毎月第3金曜(8月および祝日を除く)、8月11日の山の日を含む4日間の資料特別整理期間、年末年始。

駐車場はオーテピア全体で100台(平面40台、機械式60台。うち車いす用3台、あったかパーキング2台)。利用者は最初の1時間が無料(通常400円)、以降30分ごとに100円。指定の民間駐車場でも割引が受けられる。台数に限りがあるので、イベント時は満車になりやすい。

一日こもるつもりなら、車は得策ではない。 1時間を超えると料金が積み上がっていく。駐輪場は自転車305台、バイク82台と大きく、こちらは無料。高知市街は自転車で回りやすいので、学習室で粘る日はこちらが現実的だ。

公共交通なら、とさでん交通の路面電車「大橋通」から徒歩4分。高知駅からも歩ける距離にある。


基本情報

項目内容
正式名称高知県立図書館 高知市立市民図書館(愛称:オーテピア高知図書館)
住所高知県高知市追手筋2丁目1番1号(オーテピア内)
アクセスとさでん交通「大橋通」電停から徒歩4分/高知ICから車で約15分
開館時間火〜金 9:00〜20:00 / 土日祝 9:00〜18:00(7月・8月の土曜は20:00まで)
休館日毎週月曜日(祝日は開館)・毎月第3金曜日(8月および祝日を除く)・8月11日を含む4日間・年末年始(12/29〜1/4)
開館2018年7月24日(県立図書館の創立は1916年3月、高知市丸ノ内)
設計佐藤総合計画+ライト岡田設計/免震構造/2020年BCS賞・2018年高知市都市美デザイン賞
規模オーテピア全体の延床 約22,766㎡(図書館部分17,780㎡)。図書館は2〜4階
蔵書数約150万冊(開架約30万冊・閉架書庫約120万冊)/収蔵能力205万冊・中四国最大級、全国11番目
特色全国初・世界初の県立と市立の合築/3階の課題解決型フロア(ビジネス・科学・産業・農業)/日本初の移動図書館「自動車文庫」(1948年)の系譜
自習4階の学習室96席(予約不要・先着順)。混雑時はM5階の学習・研究室60席を臨時開放(※M5階は電源なし)
予約設備グループ室・研究個室・データベース席(WEB予約/館内いますぐ予約)
Wi-Fiあり(館内全域)
電源あり(2階・3階の一般閲覧席は各席にコンセントと読書灯)
館内ルール2〜3階の図書エリアの本を4階学習室や2階ラーニングコモンズへ持ち出すには、カウンターで貸出手続きが必要
多言語利用案内を6言語+やさしい日本語で提供
駐車場あり(100台/利用者は最初の1時間無料、以降30分100円。指定民間駐車場で割引あり)。駐輪場は自転車305台・バイク82台
併設オーテピア高知声と点字の図書館/高知みらい科学館
公式サイトオーテピア高知図書館

こんな人におすすめ

  • 県立と市立がひとつになった図書館を、実際に見てみたい人
  • 持ち込みの参考書で一日こもりたい人(4階学習室96席・予約不要)
  • 電源つきの席でPC作業をしたい人(2階・3階の一般閲覧席へ)
  • 研究個室やグループ室を予約して、腰を据えて調べものをしたい人
  • 農業・産業・ビジネスの専門資料を探している人
  • 平日の夜8時まで使える図書館を探している人
  • 日曜市や高知城、ひろめ市場とあわせて、追手筋を歩きたい人

周辺スポット

歴史・文化

高知城

天守と本丸御殿がともに現存する、全国で唯一の城。15棟が重要文化財に指定されている。山内一豊が築き、追手門から天守を仰ぐ構図が絵になる。図書館のある「追手筋」という地名は、この追手門に由来する。旧県立図書館も1916年から丸ノ内、つまり城のなかにあった。

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約700m(徒歩約10分)
グルメ

ひろめ市場

屋台村のような屋内市場で、カツオのたたきをはじめ高知の食が一か所に集まっている。昼から飲んでいる人がいるのが高知らしい。日曜日には図書館の前を走る追手筋で「日曜市」が立ち、300年以上続く街路市が約1kmにわたって並ぶ。日曜に訪ねるなら、市を歩いてから図書館に入るのがおすすめ。

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約500m(徒歩約7分)

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図書館は路面電車「大橋通」から徒歩4分、高知市の中心街にあります。ひろめ市場や高知城も徒歩圏。日曜市を朝から歩くなら、市内に宿を取っておくと余裕をもって回れます。

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