4度居場所を変えて、箱崎へ——福岡県立図書館
天神で生まれ、福岡大空襲で焼け、東公園へ移り、文化会館の中に入り、そして箱崎へ。福岡県立図書館は4度居場所を変えてきた。別館の子ども図書館は、もとは県議員会館だった建物である。なお2026年11月2日から2027年1月18日まで、設備更新工事のため臨時休館する予定になっている。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
Phase 4 #37は福岡県立図書館。九州に入る。福岡市東区箱崎、筥崎宮のすぐ北にある。地下鉄箱崎線「箱崎宮前」から徒歩3分。
先に、訪ねる予定の人へ大事な連絡から。
この冬、休館します
福岡県立図書館は、受変電設備の更新工事のため、2026年11月2日(月)から2027年1月18日(月)まで臨時休館する予定になっている(年末年始休館と特別整理期間を含む)。
さらに、2026年10月5日(月)から2027年1月18日(月)まで、一般利用の駐車場が閉鎖される。身体の不自由な人向けの「ふくおか・まごころ駐車場」は引き続き使える。
工事の進捗によって期間が変わる可能性もあるので、秋から冬にかけて訪ねるなら、公式サイトの年間カレンダーを必ず確認してほしい。
このシリーズでは、耐震改修で1年10か月休んだ愛媛県立図書館を前々回に書いた。福岡は約2か月半。規模は違うが、県立図書館が止まるという出来事は、思っているより頻繁に起きている。
4つの時代
この館の歴史は、引っ越しの歴史でもある。公式サイトも「4つの時代」として整理している。
初代(1918〜1945年):天神
1915年(大正4年)10月、大正天皇御即位記念事業として福岡県立図書館の設立が臨時県会で可決された。3か年継続事業、総経費132,240円。同年12月に県庁内へ設置され、1918年(大正7年)3月に天神(現在の中央区天神5丁目あたり)で落成、5月1日から一般の無料閲覧が始まった。
建物は木造2階建で延492坪、書庫は煉瓦造3階建で延120坪。開館時の蔵書は和洋書25,000冊だった。
1945年(昭和20年)6月19日、戦災により焼失。 福岡大空襲である。6月30日には中学修猷館内に仮事務所を置いて、復興事務を始めている。焼けた11日後だ。
2代目(1949〜1964年):東公園
1948年8月、県議会で本館の復興が可決される。総経費530万円。翌1949年7月1日に東公園内で落成し、7月4日から閲覧が再開された。木造平屋建141坪、書庫は2階建35坪。初代と比べるとかなり小さい。
3代目(1964〜1983年):文化会館
1964年11月3日、中央区天神5丁目に文化会館が開館する。鉄筋コンクリート4階建、書庫は地下1階・地上7階、延7,205平方メートル。図書館はこの中に入った。
4代目(1983年〜):箱崎
文化会館が資料の増大で手狭になり、1979年12月に新館の基本設計費が議決される。1983年2月25日に落成式、4月1日に開館。これが現在の箱崎の館だ。
翌1984年11月4日には日曜開館が始まっている。
天神 → 東公園 → 天神 → 箱崎。焼けて、縮んで、同居して、独立した。 戦後日本の県立図書館が辿った道のりが、そのまま4つの住所に刻まれている。
議員会館が、子ども図書館になった
この館にはもうひとつ、面白い経緯がある。別館の成り立ちだ。
箱崎の図書館の隣には、福岡県議員会館が建っていた。1993年(平成5年)10月1日、この議員会館が図書館に所管換えされる。1994年9月から改修工事が始まり、1995年(平成7年)4月7日、別館として開館した。
いま別館に入っているのは、子ども図書館と学習室、そしてカフェテリアである。
このシリーズでは、県立図書館が建った土地の来歴を追ってきた。師範学校の跡地、刑務所の跡地、中学校の跡地、空港の跡地、小学校の跡地。福岡は土地ではなく建物そのものを引き継いだ。しかも引き継いだ相手が議員会館で、転用先が子どもの図書館。
議員が使っていた建物に、いま子どもが本を読みに来ている。悪くない転生だと思う。
創立記念日に、休む
休館日の設定にひとつ、目を引くものがある。
創立記念日(4月1日)
創立記念日が休館日。 毎週月曜、毎月末日の図書整理日、年末年始、特別整理期間に加えて、4月1日が休みになる。
前々々回に書いた広島県立図書館は逆だった。国民の祝日は休館なのに、開館記念日の11月3日だけは開けるという設定だった。
祝うために開けるか、祝うために休むか。同じ記念日の扱いで、ここまで逆になる。県立図書館というのは、本当に一館ずつ違う。
学習室には、電源がない
利用の実務を書いておく。
別館3階に、約120席の学習室がある。持ち込みの参考書や問題集だけを使った自習が、ここでは公式にできる。本館1階・2階の一般閲覧室は館の資料を使う人のための席なので、教材だけで勉強するならこちらへ、という切り分けだ。
利用は当日受付の先着順。事前予約はできず、カウンターなどで指定席の番号札を受け取る方式になっている。利用カードなどの条件はないので、ふらっと行って空いていれば座れる。
ただし電源がない。学習室にはコンセントが用意されていない。パソコンの持ち込み自体は可能だが、打鍵音や電卓の音が出る作業ができるのは一部の指定席に限られる。
一方、本館側には電源のある席がある。
| 場所 | 目的 | PC使用可 | うち電源あり |
|---|---|---|---|
| 別館3階 学習室 | 自習 | 24席 | 0席 |
| 本館1階 青少年コーナー | 資料閲覧と併用 | 4席 | 4席 |
| 本館2階 閲覧室 | 資料閲覧と併用 | 38席 | 5席 |
電源がほしいなら本館へ、純粋な自習なら別館へ。 だが本館の席は図書館資料との併用が前提なので、教材だけを広げるなら別館しかない。電源と自習が両立しない構造になっている。
そしてもうひとつ、見落としやすい点がある。学習室は17時に閉まる。 本館の閲覧室が平日19時まで開いているのに対し、別館の学習室は平日も日曜も17時まで。夕方以降に勉強したい人には、ここがいちばん効く制約だ。
調べもの用のインターネット端末は、本館2階閲覧室に12台、本館1階青少年コーナーに2台、別館1階の子ども図書館「こども情報ルーム」に小学生まで使える8台がある。
飲食は別館2階のカフェテリアで(16時30分まで)。弁当や軽食を広げて休憩できる。
なお館内に一般利用者向けの無料Wi-Fiはない。調べものでネットを使うなら、備え付けの端末か、自分のモバイル通信ということになる。
設備とアクセス
蔵書は約89万冊(開架約17万冊・閉架書庫約72万冊)。閲覧席は210席ほど。コインロッカーもある。
県内公共図書館のバックアップ拠点でもあり、ネット予約の指定館受取を使えば、県立図書館の本を近くの市町村立図書館に無料で取り寄せて借りられる。箱崎まで来られない人のための仕組みが用意されている。
駐車場が16台と少ない。 館も「狭いため、できる限り周辺の有料駐車場を」と案内している。身体の不自由な人向けの「ふくおか・まごころ駐車場」は、本館入口横に1台、子ども図書館入口横に2台。繰り返しになるが、2026年10月5日から2027年1月18日までは一般駐車場が閉鎖される。
公共交通で行くのが正解だ。地下鉄箱崎線「箱崎宮前」から徒歩3分、JR鹿児島本線「箱崎」駅から徒歩15分、天神から西鉄バス「箱崎」下車で徒歩3分。
開館時間は本館(第1・第2閲覧室)が火曜から土曜9:00〜19:00、日曜は17:00まで。ふくおか資料室(郷土資料)は9:00〜17:00。別館の子ども図書館と学習室も9:00〜17:00。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 福岡県福岡市東区箱崎1丁目41番12号 |
| アクセス | 地下鉄箱崎線「箱崎宮前」から徒歩3分/JR「箱崎」駅から徒歩15分/西鉄バス「箱崎」下車 徒歩3分 |
| 開館時間 | 本館 火〜土 9:00〜19:00・日 9:00〜17:00(ふくおか資料室は9:00〜17:00)/別館(子ども図書館・学習室)9:00〜17:00 |
| 休館日 | 毎週月曜日・図書整理日(毎月末日。土日は開館)・年末年始(12/28〜1/4)・特別整理期間・創立記念日(4月1日) |
| 🔴 臨時休館 | 2026年11月2日〜2027年1月18日(受変電設備更新工事)。駐車場は2026年10月5日から閉鎖 |
| 開館 | 本館1983年4月1日/別館1995年4月7日(旧・福岡県議員会館を改修)。創立は1918年5月1日(天神) |
| 蔵書数 | 約89万冊(開架約17万冊・閉架書庫約72万冊) |
| 閲覧席 | 約210席 |
| 自習 | 別館3階の学習室 約120席(当日受付・先着順/予約不可)。電源なし・17時閉室 |
| 電源 | 本館1階青少年コーナー4席、本館2階閲覧室5席(いずれも資料閲覧との併用が前提) |
| Wi-Fi | なし(一般利用者向けの無料Wi-Fiは提供なし) |
| 取り寄せ | ネット予約の指定館受取で、県内の市町村立図書館へ無料で取り寄せ可 |
| 駐車場 | あり(16台のみ・無料。土日は慢性的に満車)。ふくおか・まごころ駐車場は本館入口横1台・子ども図書館入口横2台 |
| 飲食 | 別館2階カフェテリア(16:30まで。弁当・軽食の持ち込み可) |
| 公式サイト | 福岡県立図書館 |
こんな人におすすめ
- 福岡県の郷土資料を調べたい人(ふくおか資料室へ)
- 児童書のエリアが完全に分かれた、静かな一般向けフロアで読みたい人
- 持ち込みの参考書で自習したい人(別館3階の学習室 約120席。ただし電源なし・17時閉室)
- 箱崎まで来られない人(県内の市町村立図書館へ取り寄せできます)
- 筥崎宮の参拝や放生会とあわせて、箱崎を歩きたい人
- 東公園とあわせて、この図書館が通ってきた4つの場所をたどりたい人
- 2026年11〜12月に訪ねる予定の人は要注意——臨時休館の期間にあたります
周辺スポット
筥崎宮
日本三大八幡宮のひとつで、図書館のすぐ南にある。楼門に掲げられた「敵国降伏」の扁額は亀山上皇の宸筆と伝わり、元寇にまつわる古社として知られる。本殿・拝殿・楼門は重要文化財。図書館は、この参道に沿った一本北の道沿いに建っている。9月の放生会は博多三大祭りのひとつで、参道に数百軒の露店が並ぶ。
Google Mapsで見る ›東公園
福岡県庁に隣接する公園で、巨大な日蓮上人銅像と亀山上皇銅像が立つ。どちらも元寇に由来するモニュメントだ。そしてこの公園こそ、1949年から1964年まで2代目の福岡県立図書館が建っていた場所。戦災で焼けた図書館が、総経費530万円で復興した地である。箱崎の現在の館を見たあとに歩くと、この図書館が通ってきた道のりが実感できる。
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