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·福井県福井市下馬町·約13分

『100万回死んだねこ』を探してくれる場所——福井県立図書館

「100万回死んだねこ」「一週間の朝ごはん」——利用者のうろ覚えを司書が正解にたどり着かせた記録が、福井県立図書館の「覚え違いタイトル集」だ。2007年の公開以来SNSで話題を呼び、書籍化までされた。7ヘクタールの敷地に図書館・文書館・文学館を収めた、レファレンスの県立図書館である。

福井県立図書館のイメージ

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。

Phase 4 #16は福井県立図書館。福井市下馬町、7ヘクタールの敷地に建つ「緑の中の庭園図書館」だ。

だがこの館の名前を全国に知らしめたのは、建物でも蔵書でもない。ウェブサイトの1ページだった。


「100万回死んだねこ」を探す仕事

図書館にはレファレンスサービスがある。利用者の「あの本を探している」に司書が付き合い、資料を突き止める仕事だ。だが地味で、存在自体を知らない人も多い。

2007年、福井県立図書館の司書・宮川陽子さんは、このサービスをもっと使ってもらう方法を考えていた。そこで思い当たったのが、司書たちの間だけで共有されていた「覚え違いリスト」である。

『100万回死んだねこ』——正しくは『100万回生きたねこ』。『下町のナポレオン』——正しくは『下町ロケット』。利用者がうろ覚えで持ち込んだ書名と、司書がたどり着いた正解。当初10件ほどだったこのリストをウェブサイトで公開したところ、SNSで繰り返し話題になり、莫大なアクセスを集めた。

そして2021年10月、講談社から『100万回死んだねこ 覚え違いタイトル集』として書籍化。2024年10月には文庫版も出ている。

このページの本当の価値は、笑えることではないと思う。「こんな曖昧な聞き方をしても、司書はちゃんと探し当ててくれる」と可視化したことだ。レファレンスカウンターの前で「こんな質問していいのかな」と足が止まる人は多い。あの一覧は、その敷居を下げるために存在している。


図書館と、文書館と、文学館

福井県立図書館は、ひとつの建物に3つの機能を収めている。

福井県文書館は2003年2月1日、図書館の新築移転と同時に開館した。県の歴史的公文書、古文書、行政刊行物を保存する施設だ。福井県ふるさと文学館はさらに新しく、2015年2月1日の開館。福井ゆかりの文学者・文学作品を扱い、自筆資料や愛用品など貴重資料は17,863点にのぼる。

新潟県立図書館も文書館と同居していたが、福井はそこに文学館が加わる。刊行された本、行政の原記録、作家の自筆原稿。同じ土地の記憶を3つの層で持っているということになる。

ただ、文書館の来歴には重い事情がある。福井は1945年の福井空襲と1948年の福井地震で、戦前の公文書の大半を失った。残っているのは240冊ほどにすぎないという。戦後分は約47,600冊が保管されている。

失ってしまった県だからこそ、残す仕組みを制度として持った——そう考えると、この3館一体の構成の意味が少し変わって見えてくる。


段差のないワンフロアに、30万冊

開架と閲覧スペースは1階のワンフロアにまとまっている。収容能力は30万冊。

一般資料コーナーは、入口から手前へ順に、青いラベルの文学、黄色の人文科学、赤の社会科学、緑の自然科学と並ぶ。書架は42列、約25万冊。色で分野が分かるので、目的の棚まで迷わない。

館内に段差がないのも特徴で、車椅子やベビーカーでも動きやすい。大活字本、点字資料、DAISYやカセットの録音図書も揃っている。平べったく開放的な建物で天井が高く、自然光がよく入る。音がこもらないので、広さのわりに集中しやすいという声が多い。

蔵書は1,102,716冊(2024年3月31日現在)。建物としては開架30万冊・閉架書庫160万冊、合わせて190万冊まで収容できる設計になっている。2023年度の来館者は504,669人、個人貸出は606,202冊を数える。

小浜市には分館として福井県立若狭図書学習センターが置かれ、こちらも30万冊超を所蔵している。嶺北・嶺南という福井特有の地理をふまえた二拠点体制だ。


設備とアクセス

閲覧席は508席と、県立図書館としてもかなり多い。持ち込みパソコン優先席が28席あり、そのほかふるさと文学館の図書ゾーンなど、指定された多くの席に電源が付いている。参考書や問題集を持ち込んだ自習も公式に認められている。

Wi-Fiは館内の閲覧コーナーで使えるが、「サイレント席」だけは対象外。この席は静寂を守るための区画で、キーボードや電卓の音が出る作業もここ以外なら基本的にどこでもできる。打鍵する日はサイレント席を避ける、と覚えておけばいい。

館内にはカフェ「あすわの木」が入り、入口付近のロビーは弁当や軽食を広げられる飲食可能コーナーになっている。コインロッカーもあるので、朝から夜まで外に出ずに過ごせる。

ただし人気の勉強スポットでもあるので、テスト期間や土日祝は朝から席が埋まりやすい。電源付きの席を狙う日は早めの到着が無難だ。

駐車場は無料で約385台(うち身障者用10台)。7ヘクタールの敷地を持つだけあって、県立図書館としては破格の規模だ。

公共交通なら、JR福井駅前の市内バス9番のりばから62系統(浄教寺行き)で約12分、「県立図書館」下車すぐ。さらに福井駅東口からは、図書館まで直行する無料シャトルバス「フレンドリーバス」が毎日運行している(約25分)。車を持たない学生でも通える体制になっているのは、郊外型の県立図書館としてかなり大きい。

開館時間は火曜〜金曜が9:00〜19:00、土日祝が9:00〜18:00。休館日は毎週月曜(休日の場合は開館)、祝日の翌日(土日にあたる場合は開館)、毎月第4木曜の整理清掃日、図書点検期間、年末年始。祝日は開いていて、その翌日が休みという組み方なので、連休に訪ねるなら確認しておきたい。


養浩館から下馬町へ

福井県立図書館の開館は1950年(昭和25年)4月1日。場所は、福井藩主松平家の別邸だった養浩館の跡地だった。

蔵書の増加にともなって手狭になり、2003年2月1日、現在の下馬町へ新築移転する。周辺には福井県生活学習館(ユー・アイ ふくい)や福井市美術館が集まり、一帯が生涯学習ゾーンを形成している。すぐ近くを足羽川が流れ、遠くには山並みが見える。

とにかく、どこを見ても美しい。 川と山の風景、手入れの行き届いた広大な敷地、そして自然光の満ちた館内。「緑の中の庭園図書館」という紹介文は誇張でもなんでもなくて、外から内までひと続きに整っている。

大名庭園の跡地から、田園のなかの7ヘクタールへ。移転で失われがちな「街なかの利便性」を、無料バスと400台近い駐車場で補っている。


基本情報

項目内容
住所福井県福井市下馬町51-11
アクセスJR福井駅から市内バス62系統「県立図書館」下車すぐ(約12分)/福井駅前から無料フレンドリーバス(約25分)
開館時間火〜金 9:00〜19:00 / 土日祝 9:00〜18:00
休館日毎週月曜日(休日は開館)・祝日の翌日(土日は開館)・毎月第4木曜日・図書点検期間・年末年始
蔵書数1,102,716冊(2024年3月31日現在/収容能力は開架30万冊・閉架160万冊)
開館1950年4月1日(養浩館跡地)、2003年2月1日に現在地へ移転
併設施設福井県文書館(2003年開館)・福井県ふるさと文学館(2015年開館)
閲覧席508席(持ち込みPC優先席28席)
Wi-Fiあり(閲覧コーナー。サイレント席は対象外)
電源あり(PC優先席28席ほか、指定された座席)
駐車場あり(無料・約385台、うち身障者用10台)
飲食カフェ「あすわの木」/入口ロビーは弁当・軽食の持ち込み可
公式サイト福井県立図書館

こんな人におすすめ

  • 「覚え違いタイトル集」の現場を、実際に見てみたい人
  • うろ覚えの本があって、レファレンスに頼ってみたい人
  • 刊行物・公文書・自筆原稿を、同じ建物で行き来したい人
  • 広い駐車場と静かなワンフロアで、1日腰を据えて作業したい人
  • 508席・電源つき・無料シャトルつきの勉強スポットを探している学生
  • 養浩館庭園とあわせて、県立図書館の来た道をたどりたい人

周辺スポット

歴史・文化

養浩館庭園

福井藩主松平家の別邸として江戸期に築かれた回遊式林泉庭園で、国の名勝。水面に張り出すように建つ数寄屋建築が美しく、アメリカの日本庭園専門誌のランキングで長く上位に入り続けている。じつはこの一帯こそ、1950年に福井県立図書館が最初に開館した場所でもある。

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約5km(福井駅から徒歩約15分)
文化施設

福井市美術館(アートラボふくい)

図書館と同じエリアに建つ美術館で、設計は黒川紀章。福井出身の彫刻家・高田博厚の作品を核に、企画展も定期的に開かれている。水盤に映る幾何学的な外観そのものが見どころで、図書館とセットで半日を組み立てるのにちょうどいい。

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徒歩圏内(同じ生涯学習ゾーン内)

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図書館へはJR福井駅からバスで約12分、東口からは無料シャトルバスも出ています。北陸新幹線の延伸で東京からのアクセスも改善しました。永平寺や東尋坊、恐竜博物館とあわせて回るなら福井駅周辺を拠点にすると動きやすいエリアです。

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