旧総合病院跡地に、鳥海山を望む文化拠点——由利本荘市中央図書館「カダーレ」
「仲間に入って」を意味する方言「かだれ」から名付けられた複合施設。建築家・新居千秋が設計し、日本建築家協会賞、東北建築賞、BCS賞と主要な建築賞を総なめにした。文化ホール、プラネタリウム、図書館が一体になった、由利本荘の新しい顔。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
秋田県南西部、由利本荘市の中心部。かつて由利組合総合病院があった跡地に、平成23年(2011年)12月、大きな複合文化施設が誕生した。由利本荘市文化交流館「カダーレ」。愛称は、地元の方言で「仲間に入って」を意味する「かだれ」に由来する。
建築賞を総なめにした複合施設
**このシリーズは「図書館(建物)を楽しむ」ことをテーマにしている。**カダーレは、単体の図書館建築というより、文化ホール・図書館・交流活動施設・教育学習施設・店舗施設・「わいわいストリート」と呼ばれる通り抜け空間からなる、街区そのもののような複合施設だ。設計を手がけたのは建築家の新居千秋。2012年度の日本建築家協会賞、第33回東北建築賞作品賞を受賞し、2014年には第55回BCS賞も受賞している。この規模の施設としては異例といえる、建築業界からの高い評価だ。
旧本荘市にあった本荘文化会館、本荘図書館、本荘公民館の機能をこの一棟に集約し、さらにプラネタリウムなど教育の拠点機能も新たに加えた。市町村合併で誕生した由利本荘市(本荘市と由利郡7町1村が合併)の新しい顔として、街のにぎわいを生み出す拠点になることを目指して計画された建物だ。
外観は宇宙船や動くお城を彷彿とさせる、複雑で近未来的なデザイン。館内も不定形な壁や通路が入り組んだ設計になっており、開放感がありながら「自分だけの空間にこもって長居しやすい」という、迷宮のような独特の心地よさがある。
収納可能22万冊、実蔵書数は約17万冊
図書館部分は収納可能冊数約22万冊の規模で設計されており、現在の実際の蔵書数は約17万冊前後。一般書から郷土資料、児童書までバランスよく揃う。開館時間は複合施設全体が朝9時から夜10時までだが、図書館部分は平日が夜8時まで、土日祝は夜6時までと少し短い。休館日は毎月第2・第4火曜日に加え、毎月末の平日(館内整理のため)、年末年始。遠方から自習やリサーチに向かう際は、事前にカレンダーを確認しておきたい。
館内では「カダーレWi-Fi」という無料の公衆無線LANが使え、持ち込みパソコン優先席などでは電源コンセントも無料で利用できる。じっくり勉強や調べ物ができる学習用スペースもあり、同じ施設内の「自然科学学習室」なども学習目的で活用されている。羽後本荘駅から徒歩数分という好立地のため、平日夕方以降や土日は地元の高校生・受験生で席が埋まりやすく、電源付きの人気席を狙うなら午前中の早めの来館がおすすめだ。
敷地内には西側150台・東側60台の駐車場に加え、イベント開催時には市役所隣接の第2駐車場140台も開放される。
本荘公園と地酒の蔵元、あわせて歩く
図書館から徒歩10分ほどのところに、本荘城の城跡を整備した本荘公園がある。約1,000本のソメイヨシノと約1万本のツツジが植えられ、春には桜とツツジの名所として賑わう。晴れた日には園内から鳥海山を望むこともでき、小さな歴史資料館も併設されている。
少し足を延ばせば、明治35年創業の地酒蔵元・齋彌酒造店もある。「雪の茅舎」の名で知られる日本酒を手がける蔵で、杜氏をはじめ蔵人自らが酒造好適米に携わるものづくりの姿勢が特徴。直営カフェも併設されており、図書館めぐりの合間に立ち寄りやすい。
アクセス
- JR羽越本線 羽後本荘駅より徒歩約10分
- 駐車場あり(敷地内210台+第2駐車場140台)
こんな人におすすめ
- 建築賞受賞作を見たい人 — 日本建築家協会賞、東北建築賞、BCS賞と、建築業界からの評価が高い複合施設
- 街のにぎわい拠点に興味がある人 — 病院跡地から文化拠点への転換という、地方都市のまちづくりの一例として見られる
- 鳥海山・飛島ジオパークを訪れる人 — 由利本荘観光の拠点として、図書館建築をあわせて楽しめる
- 地酒好き — 齋彌酒造店「雪の茅舎」の蔵元まで足を延ばせる
周辺スポット
本荘公園
本荘城の城跡を整備した公園。約1,000本のソメイヨシノと約1万本のツツジが咲き誇り、桜の名所として知られる。晴れた日には鳥海山を望むことができ、園内の小さな歴史資料館も一見の価値がある。
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