東海道の宿場町に建つ、駅前の新しい知の拠点——亀山市立図書館
東海道で唯一、江戸時代の町並みがそのまま残る宿場町・関宿。その亀山市に2023年、JR亀山駅前の新図書館が誕生した。夜8時まで開く4階建ての「つながる場」と、1.8kmにわたって町家200軒が連なる関宿——新旧の対比が楽しいまちだ。

AIによるイメージです。実際とは異なります。
東海道の宿場町に建つ、駅前の新しい知の拠点——亀山市立図書館
東海道五十三次、江戸から数えて47番目の宿場町・関宿。東海道の宿場町のほとんどが当時の町並みを留めていない中で、関宿は唯一、当時の町並みが現代に残る宿場町だ。その関宿を擁する亀山市に2023年1月、真新しい図書館が誕生した。場所はJR亀山駅の目の前。江戸の町並みと最新の図書館が共存するまち、それが今の亀山である。
学びの場から、つながる場へ
新図書館は「学びの場からつながる場へ」〜知る・学ぶ・楽しむ〜を基本理念に、本を通じて自分と向き合い、友だちとの語らいを楽しみ、自分やまちの将来について夢を膨らませる「居場所」であることを目指して建てられた。
駅前の4階建て。開館時間は9時から20時までで、1階の展示交流エリアと地下駐車場は21時まで使える。地方都市の図書館で夜8時まで開いているのは貴重だ。仕事帰りや電車の待ち時間にふらっと寄れる、駅前立地を最大限に活かした運営である。
設備も新館らしく充実している。座席は自由席のほか、1階の座席予約機やインターネットでの事前予約で確保できる席・部屋があり、館内ではSNS認証またはメールアドレス認証で公衆無線LAN(Wi-Fi)が1日合計2時間まで利用できる。特筆すべきは学習スペースの快適さで、駅を見渡せるカウンター席をはじめ、各席にパソコン等で使えるコンセントが完備されている。行き交う列車を眺めながらの作業や読書は、駅前図書館ならではの贅沢だ。
蔵書面では漫画コーナーも充実しており、ハイキュー!!が揃っているのは嬉しいところ。電子書籍サービス「かめやま電子図書館」も展開しており、ハードとソフトの両面で「新しい図書館」の形を見せてくれる。
実は亀山の図書館の歴史は長い。1928年(昭和3年)に亀山町立図書館として開館し、文教都市・亀山を支えてきた。亀山藩主は学問を重んじ、藩校「明倫舎」を設けたため学問や芸術文化が花開いた土地柄。約100年の歴史を持つ図書館が、駅前の新館として生まれ変わった——そう考えると感慨深い。
江戸時代がそのまま残る、関宿へ
図書館を堪能したら、いよいよ関宿へ。JRなら亀山駅から一駅、関駅から徒歩10分だ。
東西の追分の間約1.8kmに、江戸時代から明治時代にかけて建てられた古い町家200軒あまりが残る町並みは、歩き始めた瞬間に時代劇の世界に迷い込んだような感覚になる。漆喰の白壁、木の柵、瓦屋根——銀行や郵便局までもが景観に配慮した建物になっており、電柱のない通りをどこまでも歩いていける。
関宿のシンボル「関地蔵院」には日本最古の地蔵菩薩がまつられ、本堂、鐘楼、愛染堂の3棟が国の重要文化財に指定されている。「関の地蔵に振り袖着せて奈良の大仏婿に取ろ」と俗謡に歌われた名刹だ。
歩き疲れたら、銘菓「関の戸」を。京都の御室御所まで運ばれたという深川屋の銘菓「関の戸」は、変わらぬ町並みと同じように伝統の味を今に伝えている。380年変わらぬ味を、380年変わらぬ町並みの中で頬張る——関宿でしかできない体験である。
帰り道には亀山城多門櫓も。三重県内に唯一現存する城郭建造物で、高石垣の上の白壁の櫓は凛とした佇まい。図書館の源流である藩校・明倫舎を設けた亀山藩の、その城の遺構だ。
基本情報
| 項目 | 内容 | |---|---| | 住所 | 三重県亀山市御幸町318番地1(JR亀山駅前) | | 開館時間 | 9:00〜20:00(1階展示交流エリアは21:00まで) | | 休館日 | 火曜日(祝日の場合は翌日)、第4金曜日、年末年始、図書特別整理期間 | | アクセス | JR関西本線・紀勢本線 亀山駅からすぐ | | Wi-Fi | あり(SNS/メール認証・1日2時間まで) | | 学習席 | あり(座席予約システムあり・駅を見渡せるカウンター席) | | 電源 | あり(学習スペース各席に完備) | | 駐車場 | あり(地下駐車場・有料) | | 公式サイト | 亀山市立図書館 |
こんな人におすすめ
- 関宿の江戸の町並みと新しい図書館、新旧両方を一日で楽しみたい人
- 夜まで開いている駅前図書館で、旅の合間に読書したい人
- 東海道五十三次を辿る旅をしている人
- 城下町・宿場町・文教都市という亀山の三つの顔に触れたい人
周辺スポット
東海道 関宿
東海道五十三次47番目の宿場町。旧東海道の宿場町で唯一、歴史的な町並みが残り、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。東西約1.8kmに江戸〜明治の町家200棟以上が連なる光景は圧巻。日本の道百選にも選出。
Google Mapsで見る ›亀山城多門櫓
天正18年(1590年)築城の亀山城に残る櫓。三重県内で唯一現存する城郭建造物で、県史跡・県有形文化財。高石垣の上にそびえる白壁の多門櫓は城下町亀山のシンボルで、桜の季節は特に美しい。
Google Mapsで見る ›深川屋 関の戸
寛永年間創業、380年以上続く関宿の御菓子司。銘菓「関の戸」は赤小豆の漉し餡を求肥餅で包み和三盆をまぶした一口サイズの餅菓子で、京都の御室御所にも献上された歴史を持つ。関宿散策のお供にぜひ。
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