宿場町の賑わいを、ヒノキの館に——中津川市立図書館
中山道の宿場町として栄えた中津川。2023年、旧中山道沿いの複合施設「ひと・まちテラス」に生まれ変わった図書館は、ヒノキ材の家具が宿場町の活気を今に伝える。栗きんとん発祥の地、そして文豪・島崎藤村の故郷・馬籠宿への玄関口だ。

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宿場町の賑わいを、ヒノキの館に——中津川市立図書館
中山道六十九次のうち、中津川宿・落合宿・馬籠宿という3つの宿場を市内に抱える中津川市。木曽路の入口として、今も江戸時代の旅情を色濃く残すこの街に、2023年7月、真新しい図書館が誕生した。
保健センター跡から、複合施設「ひと・まちテラス」へ
新図書館の歩みは平坦ではなかった。2009年に土地を取得し2011年に着工したものの、市長のリコール運動や財政問題を理由に工事は中断。一旦は更地に戻されたという紆余曲折を経て、2019年に計画が再始動し、旧ユニー中津川店跡地に建設される複合施設「ひと・まちテラス」の一部として2023年7月15日に開館した。
図書館は複合施設の2階が一般図書、3階が児童図書となっている。子育て支援・市民交流・学び(図書館)・観光の4つの機能をひとつに集めた複合施設で、家具には要所要所で温かみを感じるヒノキ材を用い、児童開架には色使いの家具を設置するなど、かつて宿場町として栄えた当時の活気が伝わるような図書館を目指して作られた。旧中山道沿いという立地を、内装のコンセプトにまで落とし込んでいる。
蔵書数は図書約17万9千冊、雑誌120種類、視聴覚資料1,632点、点字図書344タイトルなど幅広い。専用PCがあり持ち込み端末の利用も可能、公衆無線LANも設置されているため、旅の途中で調べ物をするにも困らない。学習席の利用も可能で、電源も使える環境が整っている。
夜8時(土日祝は6時)まで開いているのも、観光と生活が交差するこの街らしい配慮だ。
石畳の坂道、文豪の生まれた町へ
図書館から車で25分ほど、木曽路の入口に馬籠宿がある。全国的にも珍しい坂の宿場町で、石畳が敷かれた坂道の両脇には昔ながらの食事処や土産物屋が立ち並ぶ。1895年と1915年の火災で古い町並みは石畳と枡形以外すべて焼失したが、その後復元され現在の姿になったという歴史を持つ。
馬籠は文豪・島崎藤村の出生地でもあり、島崎家の跡地に建つ藤村記念館では『夜明け前』や『東方の門』などの作品原稿が展示されている。「木曽路はすべて山の中である」という有名な書き出しで始まる『夜明け前』は、まさにこの地を舞台にした物語だ。坂を上りきった先の見晴台からは、恵那山を真正面に一望できる。
図書館から徒歩10分の中津川宿も見逃せない。古い町並みが残るエリアを散策すれば、東美濃地方を代表する商業の町として栄えた江戸時代の宿場町風情を今も感じられる。馬籠まで足を延ばす時間がなくても、駅近くで十分に宿場町の空気を味わえる。
栗きんとん、秋の味覚を求めて
そして中津川といえば、忘れてはならないのが栗きんとんだ。中津川駅前ロータリーには「栗きんとん発祥の地」の碑が立つ。中津川市周辺は良質な栗の産地として有名で、江戸時代より栗を使ったお菓子や料理が中山道を往く旅人たちをもてなしたという。栗を蒸してから中身を取り出し、砂糖を加えて炊き上げ茶巾しぼりにしたお菓子で、「川上屋」「すや」など老舗が味を競う。夏には栗きんとん味のソフトクリームも人気だが、本領を発揮するのはやはり秋。図書館で本を借りたその足で、季節の栗菓子を求めて歩き回る——そんな中津川らしい一日を過ごしたい。
基本情報
| 項目 | 内容 | |---|---| | 住所 | 岐阜県中津川市新町2-34(中津川市ひと・まちテラス内) | | 開館時間 | 火〜金 9:30〜20:00 / 土日祝 9:30〜18:00 | | 休館日 | 月曜日、月末日(図書整理日)、年末年始、蔵書点検期間 | | アクセス | JR中央本線・中津川駅から徒歩約10分 | | 蔵書数 | 約17万9千冊 | | 学習席 | あり(専用PC・持込端末利用可) | | Wi-Fi | あり | | 電源 | あり | | 駐車場 | あり | | 公式サイト | 中津川市立図書館 |
こんな人におすすめ
- 馬籠宿・中津川宿など中山道の宿場町を巡る旅をしている人
- 栗きんとんなど秋の味覚を求めて中津川を訪れる人
- 島崎藤村の文学ゆかりの地に興味がある人
- ヒノキの香る新しい図書館でゆっくり過ごしたい人
周辺スポット
馬籠宿
中山道43番目の宿場、木曽11宿最南端の坂の宿場町。石畳の坂の両脇に茶屋や土産物屋が軒を連ね、文豪・島崎藤村の生誕地でもある。本陣跡に建つ藤村記念館では『夜明け前』などの原稿を展示。見晴台からは恵那山の絶景が広がる。
Google Mapsで見る ›中津川宿(本町・横町エリア)
中山道45番目の宿場町で、東美濃地方を代表する商業の町として栄えた。脇本陣跡には上段の間や庭が再現され、老舗の和菓子店やリノベーションカフェが並ぶ。図書館から徒歩圏内で気軽に江戸の情緒に浸れる。
Google Mapsで見る ›川上屋・すや(栗きんとん)
中津川駅前には「栗きんとん発祥の地」の碑が立つ。栗を蒸して砂糖を加え茶巾絞りにしたこの銘菓は、老舗「川上屋」「すや」をはじめ市内に名店が点在。秋(9〜11月)の生菓子シーズンは特に賑わう。
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