地下2階に潜る、角のない図書館——武蔵野プレイス
元は国の食糧倉庫跡地。角を徹底的に排除した丸みのある建築は、地上よりも地下に大きく潜る。カルチャー誌『Pen』の『世界の名建築ベスト20』にルーヴル美術館別館と並んで選ばれた図書館は、都内で最も遅くまで開いている図書館のひとつでもある。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
JR中央線・武蔵境駅南口から徒歩1分。かつて国の食糧倉庫があった跡地に、正式名称「武蔵野市立 ひと・まち・情報創造館」、通称・武蔵野プレイスが立っている。図書館を中心に、生涯学習支援・青少年活動支援・市民活動支援という4つの機能を併せ持つ複合施設だ。
世界の名建築ベスト20に選ばれた図書館
設計を手がけたのは、川原田康子氏と比嘉武彦氏によるkw+hgアーキテクツ。この建築の特徴は、徹底して角を排除した丸みのあるデザインにある。壁も什器も柔らかな曲線で構成され、各階の中央には広場のようなスペースが確保されている。シースルーの設計により、上下の階が見渡せる開放感も持ち味だ。
この美しさが評価され、カルチャーマガジン『Pen』の「世界の名建築ベスト20」に、ルーヴル美術館別館(フランス)やフランシス・A・グレゴリー図書館(アメリカ)と並んで選出されたこともある。
**このシリーズは「図書館(建物)を楽しむ」ことをテーマにしているが、武蔵野プレイスほどそれがふさわしい図書館もない。**窓も天井も、本棚も壁も椅子も——目に入るものすべてが角のない曲線で作られていて、まるで建物そのものに優しく包み込まれているような感覚になる。この曲線は館内のあらゆる場所に姿を変えて現れる。本を読みに来た人はもちろん、本そのものより先に、建物を味わってほしい図書館だ。
計画から開館まで長い道のりがあった建物でもある。跡地利用の要望書が最初に提出されたのは1973年。その後何度も計画が見直され、2004年のプロポーザルで設計者が決定し、2011年7月にようやく開館した。実に38年越しのプロジェクトだ。
地下2階から地上2階、4フロアの図書館
図書館は地下2階から地上2階までの4フロア構成。1階には新聞・雑誌の最新号や予約棚、カフェがあり、2階は家族で楽しめる生活関連書と児童書のフロア。地下1階は落ち着いて読書や調べものができるメインライブラリー、地下2階は芸術・美術系の図書とヤングアダルト向け図書が並ぶ。地下2階には10代向けのスタジオもあり、若者が気軽に立ち寄れる場としての役割も担っている。
開館時間は9:30〜22:00。都内の公共図書館の中でも最も遅くまで開いている部類に入る。指定管理制度を採用しており、この長い開館時間もその運営体制によって実現している。
玉川上水と杵築大社、あわせて歩く
武蔵野プレイスの周辺は、江戸の水路と鎮守の杜が今も残るエリアだ。徒歩5分ほどのところにある杵築大社は「東京の出雲大社」とも呼ばれ、千本の銀杏並木が参道を彩る。境内の富士塚を33回登ると、富士山に登ったのと同じご利益があるという言い伝えも。
もう少し足を延ばせば、江戸時代に整備された玉川上水沿いの緑道がある。四季折々の木々に囲まれた散策路は、都心からほど近いとは思えないほど静かだ。
アクセス
- JR中央線 武蔵境駅南口より徒歩約1分
こんな人におすすめ
- モダン建築が好きな人 — 角のない曲線デザイン、地下に広がる立体的な空間構成は一見の価値あり
- 夜まで作業したい人 — 22時までの開館は都内トップクラス。地下2階のスタジオは学生にも人気
- 神社仏閣・散策好き — 杵築大社、玉川上水緑道とセットで半日楽しめる
- カフェで一息つきたい人 — 1階にカフェ併設、図書館の本を持ち込んで読書もできる
周辺スポット
杵築大社
「東京の出雲大社」とも呼ばれる神社。千本もの銀杏が並ぶ参道は秋に見事な黄葉を見せる。境内には富士塚もあり、33回登拝すると富士山登拝と同じご利益があるという。
Google Mapsで見る ›玉川上水緑道
江戸時代に整備された玉川上水沿いの緑道。紅葉や銀杏、椿など四季の木々が植えられ、都心近くとは思えない静けさの中を歩ける。武蔵野プレイスから三鷹方面へ続く散策コース。
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