台風の記憶を継ぐ図書館——名古屋市南図書館
1959年、東海地方を中心に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風。南図書館はその記録を専門に収集する「伊勢湾台風資料室」を館内に持つ、防災と記憶を伝える図書館だ。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
1959年(昭和34年)9月26日、東海地方を中心に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風。死者・行方不明者は5,000人を超え、名古屋市南部はとりわけ深刻な被害を受けた地域のひとつだった。
その記憶を、専門の資料室を設けて今も伝え続けている図書館が、名古屋市南区にある。
寄付で生まれた図書館、台風の記憶を継ぐ部屋
南図書館の始まりは1964年(昭和39年)5月1日。地元の太平製作所社長・田中均一郎氏の寄付によって、勤労青少年のための映写・講演会ホールを併設した図書館として開館した。寄付による冷暖房導入は名古屋市図書館として初めての試みだったという。
1992年(平成4年)、隣接地に移転新築。新図書館ではホールの代わりに南文化小劇場が整備され、そのかわりに2階に伊勢湾台風資料室が設けられた。被害状況や復旧・対策事業に関する図書、市南部を中心とした被災・救援活動の記録写真やパネルなど、図書約9,000冊・写真約3,000枚という規模で資料を保存・公開している。これらのパネルは館内展示だけでなく、各種機関や団体への貸出も行われているという。
蔵書数は約10万8千冊。災害の記憶を地域の図書館が継承し続けるという、南図書館ならではの重要な役割がここにある。
縁結びの観音様と東海道の記憶
図書館の訪問とあわせて、南区の歴史を歩いてみたい。笠寺観音(笠覆寺)は天平5年(733)創建、尾張四観音のひとつに数えられる古寺だ。玉照姫の伝説から「縁結びの観音様」として親しまれ、毎月6のつく日には「六の市」が境内に立つ。
実は徳川家康の幼少期、人質交換が行われた場所とも伝わっており、家康ゆかりの寺院としての側面も持つ。巨大な木造の本堂は江戸時代の建立で、名古屋市指定文化財。鎌倉時代の梵鐘は愛知県指定文化財に指定されている。
笠寺観音から旧東海道を西へ進めば、鳴海宿・有松を経て熱田宿へとつながる。災害の記憶を伝える図書館と、千年続く信仰の地。南区には、二つの異なる「記憶の継承」が並んで存在している。
基本情報
| 項目 | 内容 | |------|------| | 住所 | 愛知県名古屋市南区千竈通2丁目10番地の2(南文化小劇場併設) | | 開館時間 | 火〜土 9:30〜19:00 / 日・祝 9:30〜17:00 | | 休館日 | 毎週月曜・毎月第3金曜・年末年始・特別整理期間 | | アクセス | 市バス「千竃通二丁目」停より徒歩約1分 | | 蔵書数 | 約108,000冊 | | Wi-Fi | あり(NAGOYA Free Wi-Fi・要認証) | | 電源 | なし | | 駐車場 | あり | | 学習室 | あり | | 公式サイト | 名古屋市南図書館 |
こんな人におすすめ
- 伊勢湾台風の記録を通じて防災意識を高めたい人
- 笠寺観音や東海道鳴海宿と合わせて南区の歴史を歩きたい人
- 縁結びのご利益を求めて笠寺観音を訪れる予定の人
- 名古屋市内の図書館を一区ずつ訪ね歩いている人
周辺スポット
笠寺観音(笠覆寺)
天平5年(733)創建、尾張四観音のひとつに数えられる古寺。玉照姫の伝説から「縁結びの観音様」として知られる。徳川家康の幼少期に人質交換が行われた場所とも伝わり、家康ゆかりの寺院でもある。毎月6のつく日には「六の市」が開催される。
Google Mapsで見る ›東海道鳴海宿(緑区にまたがる散策路)
東海道五十三次40番目の宿場町。笠寺観音から熱田宿へと続く旧東海道沿いには、高札場の復元や常夜灯、松尾芭蕉ゆかりの寺院が点在し、歴史散歩が楽しめる。
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