重厚なコンクリートの記憶——江南図書館、移転前と移転後を地元民が語る
図書館には、その建物にしかない「空気」がある。新しくなって便利になっても、あの中3階の息をひそめるような静けさは、もう戻ってこない。

図書館には、その建物にしかない「空気」がある。新しくなって便利になっても、あの中3階の息をひそめるような静けさは、もう戻ってこない。旧館と新館、両方を知る者として記録しておきたい。
旧館の記憶——コンクリートの重なりの中に
旧・江南図書館は、重厚なコンクリート造りの建物だった。正直、派手さはない。でも、その無骨さがどこか好きだった。
1階に入ると、新聞・雑誌コーナーと自主学習のエリアがあった。静かに新聞を広げる人、参考書を開く人。それぞれが自分のペースで時間を使っていた。2階には子ども向けのコーナーと一般書が整然と並んでいた。子どもが少し声を上げても、それが許される柔らかな空気があった。そして、ひっそりとラノベコーナーもあったのが、密かな楽しみだった。
中3階——隠れ家の専門書コーナー
旧館で一番好きだった場所を一つ挙げるなら、間違いなく中3階だ。
階段を登りきる手前、天井がぐっと低くなるあのエリア。専門書がひっそりと並び、人もほとんど来ない。自分だけの書庫に迷い込んだような感覚。あそこで背表紙を眺めていると、時間が静かに流れた。
玄関前には季節ごとに花が植えられた花壇があった。入り口のウォータークーラーで喉を潤してから本を読むのが、なんとなく習慣になっていた。トイレは古くて少し匂いが気になったけれど、それも含めてあの図書館の記憶だ。
新館レポート——変わったこと、変わらなかったこと
移転後の江南図書館は、布袋駅から徒歩1分の場所にある。駅チカになったことで、アクセスは劇的に改善した。館内は明るく開放的で、設備も新しい。使いやすさという点では、旧館とは比べものにならない。
でも、あの中3階はない。天井の低さも、静けさも、再現できないものがある。新しい図書館には新しい居心地がある。それは確かだ。ただ、旧館の「空気」とは別のものだと思っている。
どちらがいいか、という話ではない。移り変わりを知っている者にとって、両方が本物だ。