メタボリズム建築が見る最後の夏、亥鼻山の斜面に立つ知の砦——千葉県立中央図書館
1892年開館、千葉県内最初の図書館をルーツに持つ千葉県立中央図書館。現在の館舎は建築家・大高正人による戦後モダニズム建築の傑作で、DOCOMOMO JAPANにも選定されているが、老朽化により青葉の森公園への統合移転が進んでいる。

※画像はAIによるイメージです。実際とは異なります。
Phase 4 #10は千葉県立中央図書館。亥鼻山の斜面に建つこの図書館は、戦後モダニズム建築の傑作として知られる一方、老朽化による移転統合が進行中という、今まさに過渡期にある図書館だ。
千葉県最初の図書館、130年余りの歴史
千葉県立図書館の歴史は1892年(明治25年)5月、千葉県教育会附属書籍館として千葉市本町の立真社楼上に開館したことに始まる。千葉県内では最初の図書館だった。その後、中央・西部・東部の3館体制を経て、現在に至る。中央図書館(千葉市)は千葉県関係資料と児童サービスを、西部図書館(松戸市)は自然科学・技術系資料を、東部図書館(旭市)は文学・歴史分野の資料を、それぞれ充実させるという役割分担がされてきた。専門書を探す際は、この分野の違いを覚えておくと便利だ。
メタボリズム建築の傑作、「群造形」の実践
現在の中央図書館の建物は1968年(昭和43年)竣工。設計を手がけたのは建築家・大高正人で、日本を代表する現存の近代建築の一つとしてDOCOMOMO JAPANにも選定されている。
隣接する千葉県文化会館、聖賢堂とともに斜面を利用した「エスプラナード(遊歩道)」として一体的に構成される「千葉文化の森」を形作っており、大高が建築家・槇文彦とともに提唱した「群造形(グループフォーム)」の理念を実践した建築として知られる。図書館は床スラブによる水平的表現、文化会館はHPシェル壁面による鉛直的表現と、それぞれ造形を違えて対比させているのが特徴だ。地上5階地下2階建てで、県庁に近い亥鼻山の斜面という立地を巧みに活かしている。
しかし、この歴史的建築にも転機が訪れている。2017年、千葉県生涯学習審議会は県立3館を1館へ集約することが望ましいとする答申を出し、2019年には中央・西部・東部の3館を統合して千葉県立青葉の森公園内へ移転整備する計画が発表された。完成から半世紀以上を経て老朽化も進んでおり、専門家からは「戦後モダニズム建築の優れた事例で貴重な文化資産」として保存を求める声も上がっている。訪れるなら、今のうちかもしれない。
設備とアクセス
蔵書数は約85万〜86万冊(開架・閉架含む)で、千葉県内最大級の規模を誇る閲覧席数162席の図書館だ。特に千葉県に関する郷土資料・歴史資料や、児童サービス資料のコレクションが充実している。無料の公衆無線LANが利用でき、一部の閲覧席やパソコン優先席では持ち込みPC・タブレット用の電源コンセントも使える。独立した専用の自習室こそないが、館内の閲覧席で参考書等を持ち込んだ自習が認められている。
ただし電源が使える席数には限りがあり、週末やテスト期間は早い時間から埋まってしまうことも。長時間パソコン作業を予定しているなら、端末はフル充電で向かうのが安心だ。また、建物の老朽化に伴う各種対応により、館内での飲食スペースの提供状況は時期によって変動・制限される場合もあるので、長時間滞在で食事をとる予定なら周辺の飲食店や公園を事前に確認しておくとよい。
駐車場は敷地内に31台分、無料で用意されているが、県立施設としてはかなり手狭。満車になりやすいため、公共交通機関での来館が公式に推奨されている。JR本千葉駅から徒歩8分、京成千葉中央駅から徒歩15分、千葉都市モノレール県庁前駅からは徒歩5分と、複数の交通手段からアクセスできる。
開館時間は火〜金9:00〜19:00、土・日9:00〜17:00。休館日は毎週月曜日と毎月第3金曜日(祝日の場合は前日)。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 住所 | 千葉県千葉市中央区市場町11-1 |
| 開館時間 | 火〜金 9:00〜19:00 / 土・日 9:00〜17:00 |
| 休館日 | 毎週月曜日・毎月第3金曜日(祝日の場合は前日)・年末年始・特別整理期間 |
| 蔵書数 | 約85万〜86万冊 |
| Wi-Fi | あり |
| 電源 | あり(指定席のみ、席数に限りあり) |
| 駐車場 | あり(無料31台、手狭・満車になりやすく公共交通機関推奨) |
| 学習室 | あり(独立した専用室はないが閲覧席162席で自習可) |
| 公式サイト | 千葉県立図書館 |
こんな人におすすめ
- 大高正人によるメタボリズム建築を、移転前に見ておきたい建築好き
- 亥鼻公園・千葉県文化会館とあわせて「千葉文化の森」を巡りたい人
- Wi-Fi・電源完備の環境でパソコン作業をしたい人
- 千葉県関係の郷土資料をじっくり調べたい人
周辺スポット
亥鼻公園
千葉氏の居城跡とされる亥鼻城址を整備した公園。桜の名所としても知られ、千葉市立郷土博物館(模擬天守)も敷地内にある。図書館が建つ斜面一帯を含む、千葉の歴史を感じられるエリア。
Google Mapsで見る ›千葉県文化会館
図書館と同じ建築家・大高正人が手がけ、「千葉文化の森」として一体的に設計された文化施設。コンサートや演劇などが催され、建築好きなら図書館とセットでの見学がおすすめ。
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